切れ込みの入った大きな葉が印象的な「モンステラ」。元気にすくすくと育つと、鉢からあふれんばかりに茎が伸びたり、葉が増えすぎて全体のバランスが崩れてしまうことがあります。
そんなときにおすすめなのが、カットした剪定枝を使って株を増やす「水栽培(水耕栽培・水差し)」です!「観葉植物を増やすのって土や肥料が必要で難しそう…」 「失敗して親株まで枯らしてしまったらどうしよう…」
この記事では、モンステラを水栽培で増やすためのベストな時期や必要な道具、一番の成功のカギとなる「節(ふし)」と「気根(きこん)」の見分け方、具体的な手順から株分けテクニックまで、初心者向けに徹底解説します!モンステラは非常に生命力が強く、実は「水につけておくだけ」で驚くほど簡単に根を出してくれます。また、土を使わない水栽培なら部屋が汚れず、透明なガラス容器を使えば根がぐんぐん伸びる様子を観察できるため、インテリアとしても楽しめます。
【時期】モンステラを増やすベストなタイミング(5月〜9月)

モンステラを水栽培で増やす際、最も重要なのが「作業を行う時期(季節)」です。どれだけ丁寧な手順を踏んでも、時期を間違えると発根せずに腐ってしまう原因になります。
増やすのに最適な時期は「5月〜9月」
モンステラの生育期にあたる5月から9月頃(初夏〜秋口)が、水栽培に最も適したベストシーズンです。
この時期のモンステラは細胞分裂が非常に活発で、カットした断面からの回復が早く、新しい根(発根)や新芽を伸ばすパワーに満ちあふれています。特に梅雨時期(6月頃)は湿度が高く、乾燥を防ぎやすいため失敗が少ない絶好のタイミングです。
避けるべき時期:秋〜冬(10月〜3月)
気温が下がる秋後半から冬場にかけて、モンステラは成長を止めて「休眠期」に入ります。
この時期に茎をカットして水につけても、発根する体力が残っていないため、根が出る前に切り口から雑菌が入って黒く腐ってしまう可能性が格段に高まります。冬場に茎が伸びすぎて気になった場合でも、基本的には春(5月)まで待ってから作業を行うのが安全です。
成功の目安となる「適温」
モンステラが元気に発根・成長するための適温は20℃〜30℃です。 最低気温が安定して15℃〜20℃を超えるようになってから作業をスタートしましょう。真夏の猛暑日(35℃以上)が続く時期は、容器内の水温が上がりすぎて水が腐りやすくなるため、クーラーの風が直接当たらない涼しい室内で管理するのがコツです。
【準備】剪定ハサミの消毒や適切な容器の選び方
モンステラを水栽培で増やすために必要な道具を揃えましょう。特別な道具は必要なく、100円ショップや家にあるもので簡単に準備できます。
必要な道具一覧
- 剪定ハサミ(またはカッターナイフ)
- 消毒用アルコール(またはライターの火)
- 水栽培用のガラス容器(グラス、花瓶、空き瓶など)
- 水道水
- 手袋(ビニール手袋や軍手)
- (お好みで)発根促進剤(メネデールなど)
【プロのコツ】ハサミの「消毒」を忘れずに!
モンステラを増やす作業で意外と落とし穴になるのが、「ハサミの衛生管理」です。
普段お庭の植物を切っているハサミには、目に見えない雑菌やカビの胞子が付着しています。消毒していないハサミで茎をカットすると、その切り口から雑菌が侵入し、水につけた途端に茎がドロドロに腐ってしまう原因になります。
- 消毒方法: 剪定ハサミの刃の部分に消毒用エタノールをスプレーして拭き取るか、刃先を火で数秒炙って熱消毒(冷ましてから使用)しておきましょう。
水栽培用容器の選び方
容器は、透明なガラス製の瓶や花瓶が最もおすすめです。
- 透明容器のメリット:
- 水の濁りや汚れ具合がひと目でわかり、水替えのタイミングを逃さない。
- 根がどれくらい伸びたか、発根の成長プロセスを目で見て楽しめる。
- 茎が倒れないよう、ある程度深さと重みがある容器を選ぶと安定します。
【注意】モンステラの樹液(シュウ酸カルシウム)に気をつけよう
モンステラの茎や葉をカットすると、断面から透明な樹液(液汁)がじわっと染み出てきます。
この樹液には「シュウ酸カルシウム」という針状の結晶成分が含まれており、素手で触ると皮膚がかゆくなったり、かぶれたりすることがあります。作業をする際はビニール手袋を着用し、もし皮膚についた場合はすぐに水で綺麗に洗い流してください。小さなお子様やペットがいるご家庭では、切り口を舐めたりしないよう十分注意しましょう。
【重要】「節(ふし)」と「気根」の位置を見極める

水栽培でモンステラを増やす際、最も多く発生する失敗事例が「葉っぱと茎だけを切って水につけておいたのに、全く根が出ずに枯れてしまった」というケースです。
モンステラを水栽培で成功させるためには、切り取る茎に必ず「節(ふし)」を含める必要があります。
なぜ「節(ふし)」がないと根が出ないのか?
モンステラの体内構造上、新しい根(発根)や新しい芽(細胞)を生み出すための「成長点」は、茎の「節(ふし)」の部分にしか存在しません。
どれだけ健康的で美しい葉っぱがついていても、節が含まれていないツルツルの茎部分だけを切り取って水につけておくと、見た目はしばらく緑色を保ちますが、永久に新しい根や新芽が出ることはなく、最終的には黄色くなって枯れてしまいます。
「節(ふし)」と「気根(きこん)」の見分け方
モンステラの茎をじっくり観察してみましょう。
- 節(ふし)とは: 茎を観察すると、竹の節のように少し太くなって横線が入っている帯状の部分があります。ここが「節(リング)」です。葉の柄(葉柄)が生えている根元部分に必ず存在します。
- 気根(きこん)とは: 節の周辺から、茶色くニョキニョキと空気中に伸び出している紐状の根っこのことです。本来は自生環境で木や岩に抱きつき、水分や体を支えるために伸ばす根です。
【失敗しない剪定位置】どこで切るのが正解?
剪定する際は、「節(ふし)」の少し下(約1〜2cm下)を狙ってハサミを入れます。
可能であれば、「節」+「気根」が1本以上セットで含まれる位置でカットするのがベスト中のベストです!
すでに伸びている気根は、水につけるとすぐに水生根(水中用の白い根)へと変化してぐんぐん伸び始めるため、発根までのスピードが劇的に早くなり、失敗率をほぼゼロに下げることができます。もし気根が長すぎる場合は、指で持ちやすいように2〜3cm程度の長さに短くカットしても問題ありません。
【方法1:水耕栽培】根の成長が見えて楽しい「水挿し(水栽培)」

準備が整い、カットする位置(節と気根)が見極められたら、いよいよ実際に水栽培をスタートしましょう!具体的な手順をステップ形式で解説します。
ステップ①:茎をカットする
準備した清潔なハサミを使い、狙った「節」の1〜2cm下の位置で一気に茎を切り落とします。切り口が潰れないよう、スパッと切れ味よく切るのがポイントです。
ステップ②:下葉を整理する(葉の数を減らす)
カットした茎に葉がたくさんついている場合は、一番上の元気な葉1〜2枚だけを残し、下方の葉は根元からカットして取り除きます。
- 理由: 葉の枚数が多いと、葉の裏側から水分の蒸発(蒸散作用)が盛んに行われ、まだ根がない状態の茎が脱水症状を起こしてしおれてしまいます。また、葉が水に浸かると腐敗の原因になるため、水に浸かる位置の葉はすべて落としましょう。
ステップ③:切り口を水で洗い流す
カットした断面から出てくる透明な樹液(シュウ酸カルシウム)を、水道水で軽く洗い流します。樹液が水中に残っていると、水が濁りやすくなったり腐敗の原因になります。
ステップ④:容器に水を張り、茎をセットする
ガラス容器に清潔な水道水を注ぎ、カットしたモンステラの茎を入れます。
- 水の量の目安: 茎の「節」と「気根」がしっかり水に浸かる量(容器の3分の1〜半分程度)を入れます。茎全体を深く沈めすぎると、茎の上部から腐ってしまうことがあるため、節と気根が潜る最低限の水量で十分です。
発根確率をグッとあげる「メネデール」の活用
「少しでも早く根を出させたい」「失敗のリスクを最小限にしたい」という場合は、市販の発根促進剤(植物活性素)である「メネデール」を水に数滴混ぜるのが非常に効果的です。
メネデールに含まれる二価鉄イオンが、切られた断面の細胞膜を保護し、発根活動を強力にサポートしてくれます。規定量(約100倍希釈)に薄めた水を容器に入れてセットしましょう。
【方法2:株分け】大きくなりすぎた株を水栽培で「株分け」
モンステラを増やす方法には、剪定した枝を使う「挿し木(水挿し)」のほかに、大きく成長して密集した株を根元から切り分ける「株分け(水栽培化)」という方法もあります。
鉢の中がモンステラでいっぱいになり、根詰まりを起こしている場合や、一気に大きめの株を増やしたい場合におすすめです。
水栽培による「株分け」の手順
- 株を鉢から抜く: 鉢の周囲を軽く叩き、土をほぐしながらモンステラを鉢から優しく引き抜きます。
- 古い土を綺麗に落とす: 根に絡みついた古い土を崩しながら手で落とします。水栽培に移行するため、根鉢についた土は水道水でキレイに洗い流し、土を完全に除去してください(土が残っていると水が腐る原因になります)。
- 株を切り分ける: 茎の生え際や根のつながりを観察し、それぞれの株に「葉・節・気根(根)」がバランスよく残るよう、ナイフやハサミで優しく根をほぐしながら引き裂くかカットします。
- 痛んだ根を整理する: 黒く変色してスカスカになった古い根や、途中で折れてしまった根をカットして整えます。
- 水につける: それぞれ分けた株を、背丈に合った深めのガラス花瓶やピッチャーにセットし、根がしっかり浸かるまで水を注ぎます。
親株の立派な葉と根がついた状態で水栽培をスタートできるため、インテリアとしての存在感も抜群です。
水栽培をスタートした後の「設置場所」と「水替え・お手入れ」のコツ
茎を水につけたら作業完了…ではありません! 無事に元気な根が生えてくるまでの約2週間〜1ヶ月間、日々の管理が成功を左右します。
1. 置き場所:直射日光を避けた「明るい日陰」
水栽培中のモンステラは、直射日光が当たらない、風通しの良い明るい室内(半日陰)に置きましょう。
- 直射日光は絶対NG: 太陽光が直接ガラス容器に当たると、容器の中の水温が急上昇して「お湯」のようになり、根や茎が煮えて腐ってしまいます。また、容器内に緑色のコケ(藻)が発生する原因にもなります。
- おすすめの場所: レースのカーテン越しに柔らかい光が入るリビングの棚の上や、北側〜東側の明るい窓辺などが最適です。エアコンの冷暖房の風が直接当たる場所は、葉が乾燥して枯れるため避けてください。
2. 水替えの頻度:夏場は「できれば毎日」、冬場は「2〜3日に1回」
水栽培の最大の敵は「水の濁り・腐敗」と「酸素不足」です。
水の中の酸素がなくなると根が呼吸できなくなり、「根腐れ」を起こします。新鮮な酸素を補給し、雑菌の繁殖を防ぐために定期的な水替えを行いましょう。
- 夏場(6月〜8月): 水が痛みやすいため、毎日(最低でも2日に1回)新しい水道水に入れ替えます。
- 春・秋・冬: 2〜3日に1回を目安に水を交換します。
※交換する水は、カルキ(塩素)が含まれている「汲みたての水道水」をそのまま使ってください。カルキには雑菌の繁殖を抑える消毒効果があるため、浄水器の水やミネラルウォーターよりも水道水の方が水栽培には適しています。水替えの際、容器の底にぬめりがあれば洗剤を使わずサッと洗い流しましょう。
3. 発根までの期間と変化
環境が整っていれば、水につけてから約1週間〜10日ほどで、節や気根の表面からツヤツヤとした「真っ白な新しい根」がひょっこり顔を出し始めます!
そのまま2週間〜1ヶ月ほど経過すると、白い根が何本も分岐してぐんぐん伸び、容器の中にしっかりと根を張り巡らせるようになります。
発根後は「水栽培のまま育てる」or「土へ植え替える(鉢上げ)」
水栽培で白い根が5cm〜10cmほど健康的に伸びてきたら、その後の育て方として2つの選択肢があります。
選択肢①:そのまま「水栽培(ハイドロカルチャー)」として楽しむ
土を使わずに、そのままおしゃれなインテリアグリーンとして水だけで育て続ける方法です。
- メリット: コバエや虫が発生しにくく、室内を清潔に保てる。水やり管理が目視で簡単。
- コツ: 水だけでは徐々に栄養不足になるため、発根が完了した後は、水栽培用の薄い液体肥料(ハイポネックスのハイドロカルチャー用など)を規定量よりさらに薄めて少量投与すると、葉の色ツヤが良くなります。また、ハイドロボール(人工の焼成赤玉土)を敷き詰めたハイドロカルチャーに移行するのもおすすめです。
選択肢②:鉢植えの「土」へ植え替える(鉢上げ)
モンステラをさらに大きく、大きな切れ込みが入った迫力のある葉に育てたい場合は、土植え(鉢植え)に切り替えるのがおすすめです。
- タイミング: 白い根が数本に分岐し、長さが5cm〜10cm以上にしっかり育ったタイミング。
- 手順:
- 観葉植物用の水はけが良い土(市販の培養土)と、一回り大きな鉢(4号〜5号鉢程度)を用意します。
- 鉢底ネットと鉢底石を敷き、土を半分ほど入れます。
- 水栽培で育ったモンステラを中央に置き、根を傷つけないよう優しく土を被せます。
- 鉢底から水が溢れ出るまでたっぷりと水やりを行い、1週間ほど風通しの良い日陰で休ませます。
※水で育った根(水生根)は非常にデリケートで乾燥に弱いため、土に植え替えた直後の1〜2週間は土を乾燥させないよう、こまめに水やりを行って土になじませるのが成功のポイントです。
【まとめ】
今回は、モンステラを水栽培(水耕栽培)で失敗なく増やすための全手順とコツを詳しく解説しました。
最後に、成功のための重要なポイントをもう一度おさらいしておきましょう!
- 最適時期: 生育期である5月〜9月(気温20℃以上)に行う。冬場は避ける。
- 成功の最重要カギ: 必ず「節(ふし)」と「気根」を含んだ位置で茎をカットする(節がないと根が出ない)。
- 衛生と安全: ハサミはアルコール消毒し、樹液(シュウ酸カルシウム)に触れないよう手袋を着用する。
- 置き場所: 直射日光を避けた、風通しの良い「明るい日陰」に置く(お湯化を防ぐ)。
- 水替え: 夏場は毎日〜2日に1回、新鮮な水道水と入れ替えて酸素を補給する。
モンステラは、観葉植物の中でもトップクラスの生命力を持っています。
たった1本の「節」と「気根」がついた茎があれば、コップ1杯の水から新しい命が芽吹き、お部屋を爽やかに彩る新たなインテリアグリーンへと成長してくれます。
親株の剪定で出た枝や、伸びすぎて収拾がつかなくなった茎があれば、ぜひ捨てずに水栽培にチャレンジしてみてください!ぐんぐん伸びる真っ白な根っこを観察する時間は、きっと毎日の小さな楽しみに変わるはずですよ!




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